- のどが渇き、水分を多く摂るようになった
- 尿の回数や量が増えた
- 最近、疲れやすい
- 体重が急激に減少した
糖尿病の原因と症状
糖尿病の原因と症状
1型糖尿病は、膵臓にあるインスリンを作る細胞であるβ細胞が壊れてしまい、自分でインスリンを作ることができなくなる病気です。インスリンは、血糖値をコントロールするために必要な、重要な役割を果たしています。
普段、私たちは食事を摂ると、体内で炭水化物がブドウ糖という形に分解されます。このブドウ糖は私たちの体のエネルギー源として利用されるのですが、ブドウ糖を体の細胞に取り込むためにはインスリンが必要です。
しかし、1型糖尿病の人々は、膵臓の中のβ細胞が壊れてしまっているため、インスリンをほとんどまたは全く作ることができません。その結果、ブドウ糖は体の細胞に取り込まれず、血液中に留まってしまい血糖値が高くなることで、体にさまざまな問題が引き起こされる可能性があります。またインスリンの働きが絶対的に不足すると、体内の細胞はエネルギー源としてブドウ糖をうまく利用できず、代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーを生み出そうとします。このエネルギー供給の問題により、脂肪が分解されるとケトン体という物質が作られます。ケトン体は、通常は少量なら問題ありませんが、大量に作られると体内のバランスが乱れ、ケトアシドーシスという状態が起こることがあります。ケトアシドーシスは重篤な状態で、吐き気やお腹の痛み、深くて速い呼吸、意識障害などの症状が現れます。この状態では緊急的な入院治療が必要です。
1型糖尿病では、体内でほとんどインスリンを作ることができないため、基本的にインスリン注射療法が不可欠となります。注射によって体に足りない分のインスリンを補うことで、血糖値をコントロールすることができます。
1型糖尿病は生涯にわたって継続的な管理が必要ですが、正しい治療とサポートを受けることで、健康な生活を送ることができます。
このタイプは急激に発症し、わずか1週間程度でインスリン依存状態(自分の体の中のインスリンが枯渇するため、外部から注射などでインスリンを補充する必要がある状態)に陥ります。すぐにインスリンを補充する治療を行うことが不可欠となり、治療を行わないと糖尿病ケトアシドーシスなどの緊急合併症のリスクが高まります。
1型糖尿病で最もよくみられるタイプで、発症から数ヶ月でインスリン治療が必要になります。発症後、しばらくは自分の体内で作られるインスリンの効果が改善する期間(ハネムーン期)があることもありますが、その後は再びインスリン治療が必要になります。
発症から半年~数年かけてゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプです。初めは2型糖尿病のようにインスリン注射を使わなくても血糖値を管理することが可能ですが、時間の経過とともに体内でのインスリン分泌が少なくなり、最終的にインスリンを補う必要が出てきます。血液検査で自己抗体の有無を確認することが重要です。検査でこのタイプの可能性がある場合には、膵臓に負担をかけるような内服薬は推奨されず、インスリン治療などで膵臓を保護する治療を開始することが望ましいといわれています。
1型糖尿病の原因には、自己免疫反応が関与していることが知られています。自己免疫反応は、免疫システムが誤って自身の正常な組織を攻撃してしまう状態です。1型糖尿病では、この自己免疫反応によって、免疫システムが膵臓のβ細胞を攻撃し、破壊してしまいます。
1型糖尿病の人々の多くには、GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)抗体と呼ばれる特定の自己抗体が陽性となります。GAD抗体は、免疫システムがβ細胞を攻撃する際に関与していると考えられています。なぜ免疫システムがβ細胞を攻撃するのか、具体的な原因についてはまだ完全には分かっていませんが、遺伝的な要因や環境要因が関与している可能性が考えられています。
一般的に、生活習慣病としての糖尿病とは2型糖尿病の事を指しており、国内の糖尿病患者のうち95%以上が2型糖尿病に当てはまります。
2型糖尿病は一般的に成人によく見られる病気ですが、近年では若年層や思春期の人々でも増加しています。
2型糖尿病で血糖値が上昇する原因は主に
1.インスリンの分泌量の不足、
2.インスリンへの感受性(効き方)
の低下の2つの観点から考えられます。
膵臓のβ細胞が出せるインスリン量が少ないことが2型糖尿病の一因になります。インスリンの量が少ないと、血液中の血糖値を適切に下げるためのインスリンの働きが不足し、高血糖状態が生じます。総じてやせ型の糖尿病の方は、インスリン分泌量(β細胞からインスリンを出せる量)が控えめであることが多いといえます。インスリン分泌の能力はある程度遺伝的に規定されており、家族に糖尿病の方がおられるなど糖尿病家系の人は、インスリン分泌量が少ない傾向にあり、2型糖尿病になりやすいことが知られています。
多くの2型糖尿病では、肝臓、筋肉、脂肪組織の細胞がインスリンに対して十分な反応を示さなくなります。これを「インスリン抵抗性」と呼びます。通常、インスリンは細胞に取り込まれ、血糖をエネルギーとして利用するために必要です。しかし、インスリン抵抗性があると、インスリンが細胞対して効きづらくなり、血糖が適切に利用されず、血糖値が上昇します。インスリン抵抗性の主な原因は肥満であり、太れば太るほどインスリンが効きにくい体質になるといえます。
β細胞が強くてインスリンを多く出すことができる人は、太ってインスリンの効き方が低下しても、より多くのインスリンを膵臓のβ細胞から出すことで血糖値は正常に保たれ、糖尿病を発症しません。不公平なのですが、体質的にβ細胞が弱くてインスリン量が少ない人は、少し太っただけでもそれに対応できる十分なインスリン量を増やすことができず、糖尿病を発症しやすくなります。
同じ生活習慣病と位置付けられる2型糖尿病でも、インスリンの量や効き方、体質は人それぞれ様々でありみんなが一律ではありません。インスリン分泌量が少ない体質の方は、人一倍生活習慣に影響をうけやすく、明らかな不摂生をしなくても糖尿病になってしまうことがしばしばあります。
総じて日本人を含むアジア人は欧米人よりもβ細胞が弱い傾向にあり、また同じ日本人でもβ細胞の強さには人それぞれ多様性があり異なります。
2型糖尿病は初期にはほとんど症状がなく、自分が糖尿病であることに気づかないことがよくあります。しかし、口喝や多飲、頻尿や疲労感、体重の減少などの症状が現れる場合は、既に病気が進行している可能性があります。
2型糖尿病の治療には、食事療法と運動療法が重要な役割を果たします。バランスの取れた健康的な食事を摂り、定期的な運動を行うことで、血糖コントロールを改善することが可能です。食事や運動の改善だけでは十分な血糖コントロールができない場合は、薬物療法(経口の糖尿病薬やインスリン療法)が必要になります。これらの薬は血糖値を管理し、膵臓のβ細胞を保護し、合併症の発症や進展を防ぐために大変重要になります。
2型糖尿病は多くの場合で無症状であるため、初期段階での発見がしづらく、糖尿病の合併症が進行して初めて様々な症状が現れることがあります。また、合併症では急性合併症と慢性合併症があります。
・細小血管症(三大合併症):糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害
・大血管症:冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞),脳血管障害
・その他合併症:歯周病,感染症など
前述したとおり、遺伝的要因(体質的にインスリン量が控えめであること)に加えて、上記のような生活習慣により体質的にインスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)が重なって糖尿病を発症します。